【足部】アキレス腱断裂
アキレス腱断裂とは?
アキレス腱断裂とは、アキレス腱(踵骨腱しょうこつけん)が切れて離れてしまうことです。
アキレス腱とは、ふくらはぎにあるヒラメ筋と腓腹筋ひふくきんいう筋肉と、かかとの骨をつなぐ腱けんのことを指します。アキレス腱は体の中でもっとも大きな腱で、ヒトが立ち上がったり、歩いたりするときにつかわれることから、断裂してしまうと歩けなくなって転んだり、足に体重をかけられなくなるといった支障があらわれます。
アキレス腱断裂は、スポーツをおこなうときによくおこる外傷です。近年では健康を意識して運動をおこなう方が増えたことや、スポーツ活動が盛んになったこと、また高齢化社会の到来によって高齢者の方が日常生活のなかの転倒などによって受傷するケースもみられることから、アキレス腱断裂の発生は増えてきていると考えられています。
症状
アキレス腱断裂では、受傷時に以下のような特徴的な症状を感じることがあります。
- アキレス腱を蹴られた感覚があった
- ふくらはぎを叩かれた感じがあった
- ボールが当たった感じがあった
- “ポーン”という音、なにか破裂するような音がした など
こうした自覚症状の有無はアキレス腱断裂の診断にもつながります。なかでも、なにか破裂するような音は「Pop音」と呼ばれ、アキレス腱断裂発生時の特徴的な症状です。その後、受傷した後には以下のような症状がみられます。
- アキレス腱の部位が痛む
- 受傷した側の足に体重をかけられない
- 歩けない
- 転倒してしまう
- つま先立ちができない
- 階段の上り下りに支障があらわれる など
アキレス腱が断裂しているため、歩けなくなったり、転んでしまったりすることがあります。また歩けるものの「つま先立ち」ができないという場合もあります。アキレス腱断裂では歩けなくても足首を動かすことができたり、しばらくすると歩けるようになったりすることもあります。しかし、そうした場合でもアキレス腱が切れてしまっていることはあるため、注意が必要です。
原因
ふくらはぎにあるヒラメ筋と、かかとの骨をつなぐ腱(アキレス腱)が断裂してしまうことが原因です。アキレス腱断裂は以下のようなときに発生すると考えられます。
- スポーツをおこなうとき
- 転倒
- 転落 など
スポーツをおこなうときに発生しやすいといえます。とくに踏み込み、ダッシュ、ジャンプ、着地などの動作をおこなうことでアキレス腱がちぢんだり伸びたりするときにおこります。おこりやすいスポーツの種目としてはバトミントンやバレーボール、サッカー、テニスといったものが挙げられます。
また、高齢の方ではころんだり、ベッドなどから落ちてしまったりしたときにもアキレス腱断裂をおこすことがあります。
治療
アキレス腱断裂には、主に保存療法と手術療法という選択肢があります。
保存療法
保存療法とは、手術などをおこなわずに、ギプスや装具などを用いながら固定させて、アキレス腱の回復を図るものです。治療期間は患者さんの状態などによってことなります。治療中には画像検査などをおこない、アキレス腱の状態を把握しながら進めていくことが重要です。
手術療法
手術療法は、手術によって断裂してしまったアキレス腱をつなぎ合わせる治療法です。アキレス腱断裂に対する手術には、多くの種類があり現在(2018年1月)までに統一はなされていません。以前より一般的におこなわれているものとして、端々縫合術たんたんほうごうじゅつが挙げられますが、さらに工夫した縫合法をおこなったり、術後に装具を併せて使用したりすることによって、さらに術後の足の状態を向上させることが目指されています。
治療中もしくは治療後の合併症がおこらなければ、保存療法、手術療法どちらとも長期的な回復の具合は良好といえます。画像検査の結果や患者さんの生活様式や希望(早期にスポーツに復帰する必要があるかどうか)といった観点から、より適切な治療法をおこなってくこととなります。