【膝】膝関節捻挫

症状

クル病の1つであるビタミンD欠乏性くる病に対してはビタミンDを含む食品の摂取で予防できますが、それ以外は特に予防方法はありません。

生理的なO脚・X脚については、自然に改善するため特に治療の必要はありません。
病的なO脚・X脚の治療は、保存療法と手術療法に大別できますが、装具を用いた保存療法の効果については意見が分かれるところです。変形が高度になった場合は手術療法が必要となり、一般的に下肢の形態異常を矯正するための骨切り術が行われます。
変形の状態によっては、一時的な骨端線閉鎖を目的としたstaple(O脚では外側、X脚では内側に挿入)固定術を施行することもあります。

ケガをした関節の腫れ、痛みが見られます。これら症状は一般には損傷の程度と一致しますが、痛みを感じにくい靭帯(前十字靭帯など)もあるため、余り痛くないから大丈夫と考えてはいけません。また、かなり高度の靱帯損傷があっても、ほとんどの場合、1~2か月以内に日常生活に支障がないレベルには回復します。
したがって普通に歩けるようになったから大丈夫と思ってもいけません。

原因と病態

受傷の原因は、関節に直接力が加わるもの(直達外力による外傷)と加わらないもの(介達外力による、または非接触性の外傷)とがあります。
膝の関節の場合ですと、前者はタックルが直接膝に入ったことによるケガ、後者の例としては着地で膝を捻じったケガがその例として挙げられます。

靭帯の外傷はその程度により、1度(部分断裂)から3度(完全断裂)に分類されます(図1)。

図1図1 膝関節鏡でみた断裂前十字靭帯

 

 

診断

診断の決め手はまず、ケガをした時の状態(外力のかかった方向、ケガをしたときの膝の位置・姿勢)を詳細に聞くことから始まります。関節に血がたまっているかどうかも診断の重要な要素です。

その後の診察では、圧痛(押さえて痛むところ)の場所、靭帯のケガで関節が不安定になっていないか、などの所見をとります。MRIは多くの情報を与えてくれる有用な検査です。

予防と治療

上に述べたもののうち、直達外力によるケガは防ぎようがない部分があります。 ケガ予防のためのサポーターの効果にも限界があります。
一方、非接触性のケガについては、ケガをしないような体の使い方や基本的な切り返し・着地動作をトレーニングで身につけることにより、ある程度防止できるのではないか、と考えられています。

図2図2 関節鏡による膝関節手術

捻挫の治療は、靭帯・半月板など、どの組織がどの程度の損傷を起こしているかによって、手術による治療と手術以外のいわゆる保存的治療のいずれかを選択します。
手術は近年、関節鏡(内視鏡)を用いるなど、小切開で行うものが多く(図2)、保存的治療の場合もギプスによる長期の固定はできるだけ避けて装具やサポーターを用いて早くから運動を開始する方法(機能的治療)が主体となっています。