【内科】脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)とは?

脂質異常症(高脂血症)とは、中性脂肪や悪玉のLDLコレステロールが基準値よりも高い、もしくは善玉のHDLコレステロールが基準値より低い状態のことをいいます。

動脈硬化の主要な危険因子であり、脳梗塞や心筋梗塞等を招く原因ともなりますので、状態が改善するまでは定期的に受診しましょう。

脂質異常症(高脂血症)の症状は?

脂質異常症(高脂血症)は自覚症状がほとんどないため、検査によって発見されることが多いです。「高LDLコレステロール血症」や「家族性高コレステロール血症」の場合は、手足の腱や皮膚にコレステロールが沈着して脂肪のかたまり(黄色腫)が形成されたり、コレステロールが目の周囲に沈着して白い輪が現れる角膜輪などの症状が挙げられます。

脂質異常症のセルフチェック

▼下記の項目に複数当てはまる方は、健康診断の結果にご注意下さい。

  • 家族の中に脂質異常症や動脈硬化症を患っている人がいる
  • 血圧が高い(高血圧)
  • アルコールを日常的に摂取する
  • 痛風になっている
  • 肥満体型・肥満傾向にある
  • 運動不足
  • 血糖値が高い(糖尿病の方も含む)
  • 肉や脂っこい食べ物を好んで食べる
  • 甘いもの、乳製品や果物をよく食べる
  • 食べ過ぎてしまう
  • 喫煙者

脂質異常症の原因について

脂質異常症は、食べ過ぎや運動不足、肥満、喫煙、お酒の飲み過ぎ、ストレスが原因で発症すると考えられており、80%は生活習慣病と言われています。内臓脂肪の増加による肥満の場合は、LDLコレステロールや中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが減少するため、発症リスクが高くなります。

また、遺伝によって発症する可能性もあるため、ご家族が脂質異常症になっていたり、55歳未満の男性、または65歳未満の女性で心筋梗塞を患っていたりする場合は、「家族性高コレステロール血症」と呼ばれる脂質異常症を発症する可能性が高いと言われています。「家族性高コレステロール血症」はLDLコレステロール値が著しく高くなり、動脈硬化になりやすい傾向があります。

脂質異常症のタイプについて

脂質異常症は、上記のコレステロールや中性脂肪の数値によって下記3つのタイプに分けられます。

高LDLコレステロール血症

悪玉のLDLコレステロールが多い状態です。脂質異常症患者の中で一番多いタイプになります。そのため、脂質異常症の指標としてLDLコレステロールの数値は重要となります。健康診断でLDL、HDLの項目がない場合もありますが、総コレステロールの数値が高い場合はLDLの数値も検査することをおすすめします。

低HDLコレステロール血症

善玉のHDLコレステロールが少ない状態です。HDLコレステロールは組織に蓄積したコレステロールを正常に保つ役割があります。そのため、HDLコレステロールが減少すると、血中の余分なコレステロールによって動脈硬化のリスクが高くなってしまいます。脂質異常症は、LDLコレステロールの数値が重要視されていますが、HDLコレステロールの数値もチェックし、早期発見・早期治療を心がけましょう。

高トリグリセライド(中性脂肪)血症

中性脂肪が多い状態です。加齢によって代謝が低下することもあり、過食やお酒の飲み過ぎ、運動不足などの状態が目立つ中高年の男性に多いケースです。昨今の研究にて中性脂肪が多い場合はLDLコレステロールも増加傾向になることが明らかになっています。

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療は、食事療法や運動療法による生活習慣の改善が基本になります。生活習慣の改善を行なった後、総コレステロール・高LDLコレステロール血症・HDLコレステロール・中性脂肪の数値が目標の値に達していない状態で、動脈硬化のリスクが高い場合には薬物療法などによって改善を図ります。

脂質異常症を治すための生活習慣の改善について

食生活に気を使う

・1日3回の規則正しい食事を心がける

・よく噛んでゆっくり食べる

・バランス良く栄養を摂取し、偏食をしない

標準体重を維持する

ランニングやウォーキングなど適度な運動を心がけ、運動不足を解消する

ストレスを溜めない

ストレスを溜めないよう、自分流のストレス解消法を見つけましょう

タバコ・お酒を控える

タバコは悪玉のLDLコレステロールを増やし、善玉のHDLコレステロールを減らします。また、お酒の飲み過ぎは中性脂肪の増加につながるため、できるだけ控えましょう。