高尿酸血症(痛風)とは?
高尿酸血症とは、血中に含まれる尿酸の濃度が異常に高くなる症状です。
尿酸濃度が高いままの状態が続いてしまうと、足の親指の関節などに尿酸の結晶が沈着して炎症が起こるため、患部が腫れて強い痛みを伴う痛風という病気を引き起こします。
また、尿酸の結晶は腎臓などの器官に付着するため、腎機能障害をはじめ、様々な病気を引き起こす可能性が高くなります。高尿酸血症は男性に多く、成人男性の約20%が罹患しており、厚生労働省のデータによると痛風の患者数は95万7,000人いるといわれています。
「尿酸」とは?
尿酸とは、プリン体を分解する際に産生される老廃物です。プリン体は体を動かすためのエネルギー物質で、2〜3割は食事によって摂取、残りの7〜8割は古い細胞を分解する際に体内で産生されます。これらのブリン体は肝臓で分解された後、一時的に体内で蓄積され、尿酸となって便や尿と一緒に体外へ排出されます。
尿酸が増える原因
- 遺伝的要因(家族や親族にも痛風の方がいる)
- 食事のバランス
- 肥満
- アルコールの過剰摂取
- ストレス
- 激しい運動
- 腎臓の病気や血液の病気
- 薬による原因
尿酸値が高い人は様々な病気に合併すると言われています。
【例】脳血管障害・心疾患・腎障害・尿路結石・痛風結節
高尿酸血症を引き起こすメカニズムについて
体内て1日に産生される尿酸は約700mgで、通常は血中や尿中に溶けています。また、1日に排泄される尿酸の量も約700mgとなっており、体内に存在する尿酸については「尿酸プール」と呼ばれ、成人男性で約1200mgと常に一定量を保たれています。しかし、生活習慣の乱れによって、尿酸が過剰に量産されたり、尿酸の排泄量が低下したりすると、体内に蓄積する尿酸の量が増加し、「高尿酸血症」を引き起こします。
高尿酸血症は大きく分けて下記3つのケースがあります。
【①排泄低下型】尿酸の産生量は正常で排泄量が低いため、尿酸プールが溢れてしまう状態です。
【②産生過剰型】排泄量は正常で産生量が過剰なため、尿酸プールが溢れ出てしまう状態です。
【③混合型】①、②が混合した状態です。
血清尿酸値の基準
【正常】7.0mg/dL以下
【高尿酸血症】7.0mg/dLを超える場合
高尿酸血症による主な合併症について
①痛風
四肢の関節が炎症によって腫れ、激しい痛みを伴います。
②尿路結石症
腎臓から尿道までの尿路部分に結石ができる疾患です。倒れ込むほど、脇腹や背中側に激しい痛みを感じます。
③慢性腎臓病
腎臓の機能が低下する病気で初期症状がほどんどなく進行します。慢性腎臓病になると、夜間頻尿(夜間に排尿のために何度も起きる症状)、むくみ、貧血、倦怠感などの症状を伴います。
④腎不全
腎臓の機能が低下し、老廃物を正常に排泄できなくなります。そのままの状態で放置すると、末期腎不全になり、人工透析や腎臓移植などが必要となります。
⑤高血圧・糖尿病・脂質異常症・高脂血症 など
痛風になりやすい人の特徴について
- お酒や砂糖が多い飲料水を良く飲む
- プリン体の多い食事が多い
- 肥満傾向の人
- ストレスが溜まっている
- 両親など血縁者に痛風になっている人がいる
- 水分をあまり摂取しない
高尿酸血症・痛風の治療法
高尿酸血症・痛風は生活習慣病ですので、生活習慣の改善が治療の第一歩です。痛風の発作やその他の合併症の防止、血中の尿酸値を抑えるため、症状に合わせて以下のような治療を行います。
生活習慣の改善
食事療法
肉類・魚類・その内臓など、プリン体の含有量が高い食品は極力控えましょう。また、果糖が多く含まれる飲食物も摂取しすぎると、尿酸値が高くなるため、注意しましょう。
アルコール制限
ビールなどのアルコール飲料には、多くのプリン体が含まれています。また、プリン体の有無に関係なく、アルコールには体内でプリン体を分解し、尿酸値を高めるため、アルコールの摂取についてもできるだけ控えましょう。
【1日の摂取目安】日本酒1合、ビール500mL、ウイスキー60mL程度
運動療法
肥満の方は尿酸値が高くなります。肥満度を表すBMIの適正値はBMI<25とされています。
BMI=体重kg÷(身長m)2・適正体重=(身長m)2×22で求められます。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは、血清尿酸値が下がらない場合は薬物療法を実施します。
高尿酸血症のタイプによって、尿酸の排泄を促進するお薬や体内で産生される尿酸の量を抑制するお薬を服用し、症状の改善を目指します。また、痛風の発作がある場合には、炎症を抑えるお薬の服用などによって、痛風の炎症や痛みを抑えます。